5マイルバンパー規制に苦しめられたカウンタック

車の小噺

北米の5マイルバンパー規制

1971年、北米の運輸省道路交通安全局(NHTSA) は連邦自動車安全基準215条を発表。これは、乗用車のバンパーに適用される北米初の規制で、フロント側で5mph(8km/h)、リア側で2.5mph(4km/h)の衝突に対してヘッドライトやテールライトなどすべての灯火類と、給油装置に損傷を与えてはならないと決めたもの。この規制は1972年の9月1日より適用となり、さらに1974年モデルに関してはバンパー高さまで規定されるなどより制限が厳しくなった。これにより北米仕様車のバンパーが無骨なものとなり、車が本来持つボディスタイルは大いにスポイルされた。

各国自動車メーカーの5マイルバンパー対応
ダットサン240Z/280Z、BMW2002、ランチアベータモンテカルロ/スコーピオン、プジョー504ブレーク

カウンタックはどう対応したのか?

5マイルバンパー規制は輸入車にも適用される逃げ道の無い法規だった。例えばフロントノーズがそもそも低いランボルギーニ カウンタックは北米での走行が違法とされており正規販売もされていなかった。しかし、カウンタックの輸入販売にチャレンジしたジャス・ワレワラはある対策を講じる。フロントの高い位置にバンパーをマウント、これをウイング形状とすることで容姿の醜悪化を最小限にとどめた。映画キャノンボールに登場した1979年式LP400Sのあのフロントウイングは、5マイルバンパー規制に対応した苦肉の策だったのである。また、良く見るとリアにも控えめな2.5マイル対応のバンパーが装着されている。

特徴的なフロントウイングは、苦肉の策として装備された”5マイルバンパー”だった
LP400Sの疾走が鮮烈な印象を残すキャノンボールのオープニング

カウンタックの正規輸入モデルでは無骨なバンパーが取り付けられた

ランボルギーニ カウンタックは1985年のLP5000QVより北米への正規輸入が開始される。しかし、5マイルバンパー規制を遵守するためにランボルギーニが用意したバンパーは、ボディデザインの流麗さを無価値にする無骨なものだった。このため、納車後に5マイルバンパーを外されるケースも多かった。のちの25thアニバーサリーでは、本国仕様でも大きなリアバンパーが装着され、またフロントバンパーもボディ同色塗装されていたため違和感は小さくなった。

北米で正規販売されたLP5000QV、ブロック形状の無骨な前後バンパーに違和感を感じる
北米仕様25thアニバーサリー、リアバンパーは本国仕様と共通、フロントバンパーはボディ同色となる

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