ロードスターの登場に翻弄された、不遇の前輪駆動ロータス
かつてのロータスを代表する軽量スポーツカーがロータス エランだった。このモデル亡きあと、長い間ロータスのボトムレンジは空洞化しており、ここを埋めるモデルとして開発されたのが新型エランだった。大きな特徴は前輪駆動を採用したこと。これはコストカットや合理化が目的では無く、走りのポテンシャルをロータスなりに突き詰めた結果であった。エンジン横置き前輪駆動のためフロントヘビーが顕著だったが、それを逆手に取り強力なトラクション性能を狙い、また前後ダブルウィッシュボーンを採用した足回りは持ち前の高度なサスペンションセットアップによりコーナリング性能も両立。そのシャシーは伝統のバックボーンフレームを採用し高剛性を実現。これにピーター・スティーブンスによるデザインの、FRP製オープン2シーターボディを組み合わせた。エンジンはいすゞ製の1.6L 直4 DOHC 16バルブを採用し、自然吸気とターボの2種類を用意。ターボ版は162馬力の高出力を発生した。このエランの運動性能は高く、多くの自動車評論家から「最高の前輪駆動車」と評されるほどだった。しかし、軽量スポーツの本家ロータスのお株を奪うように、同時期に古典的FRオープンのマツダ MX-5 ミアータ(ユーノス ロードスター)が登場してしまう。その倍以上のプライスタグを付けた高価なエランは商業的には失敗に終わってしまった。

前輪駆動用のバックボーンフレーム式シャシーを採用
かつてのエランもそうだったように、新型エランでもバックボーンフレームを採用し軽量高剛性のシャシーを実現。駆動方式は違えど、ロータスのその血統は脈々と受け継がれていた。

韓国製ロータスエランの誕生
このエランについては、当時ロータスの親会社であったブガッティが、その生産設備ごと韓国の自動車メーカーである起亜に譲渡した。起亜は、いすゞ製エンジンを自製の1.8Lエンジンに換装したうえで起亜エランとして販売。日本市場向けは起亜ビガートと名付けられた。

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