当時のグランプリマシンは、エンジン出力向上のために10L以上の巨大排気量のエンジンを搭載するのが常套手段とされていた。しかしプジョーはその流れに対抗し、あくまで技術力による出力向上に挑戦した。エルネスト・アンリ設計による直列4気筒エンジンは排気量を7.6Lに抑え、半球型燃焼室を採用。また、高回転化を狙い世界初の4バルブDOHCヘッドをも取り入れていた。これにより130馬力/2200rpmと、ライバルのフィアットが12馬力/L程度であったのに対して、こちらは17馬力/Lと性能差は歴然であった。エンジン小型化により車両重量も抑えられたこの車の戦闘力は高く、1912年のフランスGPで優勝。また、1913年のインディ500には、グランプリ用を小改造し排気量を7.3Lに抑えた仕様を投入し、フランス人のジュール・グーがピットインのたびにシャンパンをあおりながらも2位以下に大差を付けて優勝。彼はインディ500を制した初の外国人ドライバーであった。プジョーL76から派生したバリエーションモデルは、これ以降の競技でも大活躍することとなった。
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