メルセデスベンツ 350SL “4ローター”

メルセデスベンツ

メルセデスベンツはロータリーエンジンの開発に熱心だった時期があり、テストベッド兼コンセプトカーのC111には3ローターおよび4ローターエンジンが搭載された。この4ローターエンジンの1基を譲渡されたのが、ロータリーエンジン生みの親として知られるフェリックス・ヴァンケルだった。彼はこのエンジンを自らの所有する350SLに搭載することを思いつく。ヴァンケルが受け取ったのはエンジン本体のみであり、吸排気系や補器類は350SL用に合わせたものが取り付けられた。また、ロータリーへの換装に伴いエンジン重量が60kgも軽減されたことからサスペンションのセットを変更し、大きなチンスポイラーが装着された。大パワーに合わせてツインプレートクラッチが奢られたが、その扱いは難しく慎重な操作が要求された。しかしひとたび発進してしまえば、320馬力の4ローターエンジンは重量級の350SLのボディを軽々と240km/hまで加速させた。

C111用4ローターエンジンの強烈なパワーによる発進加速でリアが沈み込むフェリックス・ヴァンケルの350SL。ちなみにヴァンケル所有の車ではあったが、彼自身は極度の近視のため運転が難しく運転免許を所有していなかった。助手席からこの加速を楽しんでした。

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