BMW 320is(1987-91 イタリア)

BMW

イタリアでは排気量2.0Lを超える車の税金が非常に高く設定されていた。E30型3シリーズの最強バージョンであるM3は2.3Lであり、イタリアでの販売は苦戦が予想された。そこでBMWはM3用のエンジンをスケールダウンし、排気量を2.0Lに収めたモデルを開発してイタリアおよびポルトガル市場へ投入、M3と併売する戦略をとった。320isと名付けられたそれは、M3用S14B23型のストロークを短縮し1990ccとしたS14B20型エンジンを搭載し、M3と同様にMPowerのヘッドカバーを与えられた。その出力は当時の2.0L自然吸気では驚異的な192馬力を誇り、0-100km/hは7.5秒、最高速度は227km/hをマークした。320isにはブリスターフェンダーは与えられなかったが、ギアボックスはM3と同様にレーシングパターンのゲトラグ製を採用し、ロック率25%のLSDも組み込まれていた。320isは当初4ドアのみに設定されていたが、その後2ドアにも設定された上でエアロパーツやスポーツサスペンションなどを装備しアップグレードされた。

本文中にもあるように、デビュー当初の320isは4ドアのみの設定であり、その外観はデュアル出しマフラー以外は普通の3シリーズと変わらないものだった。しかし心臓部にはMPowerヘッドを持つS14B20を搭載。更に、販売地域を絞ったことで触媒レスとすることができ、その出力はM3に肉薄する192馬力を誇った。この車が「イタリアンM3」と呼ばれる所以である。

BMWは、ドイツ国外向けの仕様としてメーカー純正スリーパーを生み出すことがある。これもそのひとつ。心臓部はM謹製、M1用のM88エンジンを搭載し286馬力を発生。最高速度は240km/h以上で、ドイツ本国仕様の745iよりも速かった。

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