1988年9月、3代目アルトのフルモデルチェンジと同時に設定されたモデルである。狭い場所での利便性や高齢者の乗降性を重視し、ドア全体が外側にせり出してから移動する「スライドスリムドア」を採用したパッケージングが最大の特徴である。
パワーユニットは、モデルサイクルを通じて2種類のエンジンが採用された。1988年登場の550ccモデルには、直列3気筒SOHC 12バルブの「F5B」型が搭載され、最高出力は40馬力/7,500rpm、最大トルクは4.3kgm/6,000rpmであった。1990年3月の規格変更以降は、排気量を拡大した直列3気筒SOHCの「F6A」型へと刷新され、最高出力は42馬力/6,000rpm、最大トルクは5.3kgm/3,500rpmへと変更。実用域での扱いやすさが向上した。
ドア構成については、排気量変更のタイミングで大きな仕様変更が行われている。550ccの初期モデルは「左右両側スライドドア(3ドア形状)」であったが、1990年の660cc化に際し、「運転席側のみスライドドア、助手席側は前後2枚のヒンジドア(4ドア形状)」という左右非対称の構成に変更された。これは助手席側からの後席アクセス性を高めるための措置であり、同時に運転席側スライドドアには半ドアを防止する「パワークロージャー機構」が追加された。
運転席には外側へ60度回転する「回転シート」を標準装備するなど、福祉車両としての機能も備えていた。1994年のフルモデルチェンジでこの特殊な仕様は廃止されたが、軽自動車におけるスライドドアの可能性をいち早く提示した先駆的な一台である。

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