1998年のパリ・モーターショーで発表された3200GTは、フェラーリ傘下に入ったマセラティが放った最初のモデルであり、ブランドの再生を象徴する2+2のグランドツーリングカーである。外装デザインはイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロが担当。マセラティの伝統を現代的に解釈したエレガントなフォルムに、世界で初めて量産車に採用された「ブーメラン型」のLEDテールランプが最大の特徴として刻まれている。
パワーユニットは、マセラティ伝統の「ビトゥルボ」系の系譜に連なる3.2L V型8気筒DOHCツインターボエンジンを搭載する。最高出力は370馬力/6,250rpm、最大トルクは50.0kgm/4,500rpmを発生。このエンジンは、マセラティ自社設計による最後のV8ターボユニットであり、低回転域から湧き上がる強烈なトルクと、過給機付きエンジン特有の荒々しさを併せ持つ特性が、後のフェラーリ製自然吸気V8を搭載したモデルとは異なる独自の魅力とされている。
トランスミッションは6速MT、または「GTA」と呼ばれるモデルに搭載される電子制御4速ATが用意され、駆動方式は後輪駆動(FR)を採用している。シャシーにはダブルウィッシュボーン式のサスペンションを前後輪に配し、当時の最先端技術である「スカイフック」アクティブダンピング制御システムも設定された。内装はコニー・デザインが手掛け、上質なレザーを惜しみなく使用した豪華な空間が広がり、伝統的なアナログ時計とともにイタリアン・ラグジュアリーの世界観を構築している。
2002年には、北米市場への再参入を見据えてフェラーリ製4.2L V8自然吸気エンジンを搭載した「マセラティ クーペ」へと進化した。それに伴い、北米の安全基準を満たさなかったブーメラン型のテールランプも一般的な形状へと変更されたため、3200GTは純粋なマセラティ設計の心臓部と、ジウジアーロの独創的な意匠が結実した、過渡期の傑作として特別な地位を占めている。

画像ギャラリー










