1997年8月に登場した「ホンダ シビック タイプR」は、6代目シビック(EK型)の3ドアをベースに開発されたピュアスポーツモデルである。NSX、インテグラに続くシリーズ第3弾として企画され、サーキット走行を視野に入れた運動性能を徹底追求。象徴色のチャンピオンシップホワイトに加え、スターライトブラック・パール、ボーグシルバー・メタリックの計3色を展開し、赤の「H」エンブレムを掲げて送り出された。
車体は主要部へのスポット溶接増しに加え、前後のパフォーマンスロッドやフロントタワーバーの結合で剛性を強化。遮音材の削減等で車重は標準車1,070kg、競技用1,040kgに抑えられた。足回りには専用の4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、5穴化された大径ブレーキやヘリカルLSDとともに、高い旋回限界と正確な制動力を実現した。
前輪を駆動する動力源は、専用開発された1.6リッター直列4気筒DOHC VTEC「B16B型」である。ブロック高の高いB18C型を基にショートストローク化し、長いコンロッドで連桿比を拡大して高回転時のピストン側圧を激減。職人による吸気ポートの段付き修正研磨を施し、8,200rpmで185ps、7,500rpmで16.3kgmを発揮し、専用5速MTが組み合わされた。
標準車の室内にはレカロ製セミバケットシート、MOMO製ステアリング、チタン削り出しシフトノブを備え、実用性とスポーツ性を両立。実用ハッチバックの骨格を持ちながら、レーシングカー直系の超高回転特性と鋭敏な操縦性を具現化し、後続の開発に影響を与えた名車として国内外で高く評価されている。

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