プジョー 205 ラリー(1988-1992 フランス)

プジョー

「プジョー 205 ラリー」は、グループNおよびグループAの1.3リッター以下クラスへの参戦を目的に開発されたホモロゲーションモデルである。モータースポーツ部門のプジョー・タルボ・スポール(PTS)が手がけ、豪華装備を削ぎ落とした純粋な競技ベース車として、若年層やプライベーター向けに低価格で供給された。

心臓部には、シトロエンAXスポーツの設計をベースに名門チューナーの「ダニエルソン」が手を入れた専用開発の1,294cc直列4気筒SOHC「TU24」ユニットを搭載。ウェーバー製ツインキャブレターを2基組み合わせ、高回転域で103psを発揮した。燃料噴射装置が主流になりつつあった時代にあえて古典的なキャブレターを採用し、鋭敏なスロットルレスポンスと吸気音を特徴としている。なお、厳格な排ガス基準を持つドイツやスイス向けには触媒付き1.9リッター仕様(105ps)、右ハンドルの英国向けには1.4リッター仕様(75ps)が供給された。

徹底した軽量化が施された車体は、遮音材や快適装備を極限まで排除したことで車両重量約790kgを達成。外観にはホワイトのスチールホイールと樹脂製フェンダーアーチを備え、フロントグリルや後部ハッチにはPTSを象徴する4色のストライプがあしらわれた。軽快な車体と俊敏な足まわりにより、排気量差を補う卓越した運動性能を発揮した。

当初は競技公認に必要な5,000台の限定生産を予定していたが、純粋な走りの楽しさと手頃な価格が欧州各地で熱狂的な支持を集め、生産終了となる1992年までに最終的に約3万台が製造された。上位のGTiとは異なる独自の魅力を確立し、小型軽量ホットハッチの歴史に確固たる足跡を残した名車である。

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