シボレー ダマス(2008-present ウズベキスタン)

シボレー

ウズベキスタンにおいて「国民の足」として普及しているシボレー ダマスは、ブランドの変遷を経て長寿を全うしているマイクロバンである。この車両のウズベキスタンにおける歴史は1996年に遡る。当初は、韓国の大宇自動車(デーウ)との合弁会社「ウズ・デーウ(Uz-Daewoo)」によって、デーウ ダマスとして現地生産が開始された。その後、大宇の経営破綻とゼネラルモーターズ(GM)による買収を経て、2008年に「GMウズベキスタン」へと組織が改編された際、国内向けブランドがシボレーへと統一されたことで、現在の「シボレー ダマス」としての販売が開始された。

その設計のルーツは、1985年に日本で登場した2代目スズキ エブリイにある。デーウがスズキからライセンスを取得して生産していたパッケージングが、ブランドの架け替えを経てもなお、ほぼ当時の姿のまま継承されているのである。搭載されるエンジンはスズキ製ユニットの流れを汲む0.8L直列3気筒(38馬力)。トランスミッションは5速MTのみという質実剛健な仕様である。構造が極めてシンプルであるため、現地の過酷な使用環境下でも容易に整備・修理が可能であり、その高い維持性が国民からの絶大な信頼の根拠となっている。

ウズベキスタン社会におけるダマスの役割は圧倒的である。全幅1.4メートルというコンパクトな車体ながら、3列シートによって最大7〜8人の乗車を可能にする空間効率を誇り、公共交通を補完する乗合タクシーとして不可欠な存在である。また、2015年からは兄弟車である軽トラック版の「ラボ」も現地生産が本格化し、ダマスが人を、ラボが物資を運ぶという、同国の物流と移動の最小単位をこのスズキ由来のコンビが担っている。

現代の安全基準や快適装備の面では、設計年次の古さに起因する課題は否めない。しかし、圧倒的な低価格と汎用性に代わる車両が存在しないことから、2026年現在も主力車種として生産が続けられている。2代目スズキ エブリィの登場から40年以上、デーウ ダマスを経て、シボレーブランドとなってから18年以上が経過した今もなお、日本の軽自動車規格が生んだ合理的な設計は、シルクロードの地で経済を支える「真の実用車」として独自の地位を確立している。

本文中に出てきた、兄弟車のシボレー ラボはこちら。ダマスよりもさらに装飾のない質実剛健ないでたちは、8代目スズキ キャリィそのまま。ウズベキスタンでは未だに新車として手に入れることができる。

ちなみに2代目エブリイ、台湾でフォード プロントとして販売されていた事がある。なかなか奥が深く、そしてカオスな海外エブリイ事情。

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