メキシコ日産が1988年から92年にかけて展開した「ヒカリ(Hikari)」は、日本市場におけるサニー RZ-1の現地名称である。当時、メキシコではB12型サニーが「ツルII」の名で国民的な普及を見せていたが、そのクーペ版である本車には日本語の「光」を冠した独自の車名が与えられた。日産の先進的な技術力とブランドイメージを牽引するフラッグシップとしての役割を担い、単なる実用車を超えたパーソナルな魅力を備えた戦略的な一台であった。
デザイン面では、80年代後半のトレンドを象徴する直線基調のウェッジシェイプが最大の特徴である。鋭いフロントノーズからリアの大型ガラスハッチへと流れるようなラインは、実用的なセダンモデルとは一線を画すスタイリッシュな佇まいを見せていた。当時の若年層や都市部のユーザー層にとって、所有欲を満たす象徴的なスポーツモデルとして高く評価された。
エンジンは、1.6Lの「E16型」直列4気筒SOHCターボを搭載。初期のキャブレター仕様(93馬力)から最終型のEGI仕様(100馬力)へと進化を遂げ、酸素濃度の低い高地が点在するメキシコの地理的条件下でも、安定した動力性能を発揮した。

日産のメキシコでの販売名称は特に日本らしいものが与えられる事が多かった。今回紹介した「ヒカリ」以外にも「サクラ」、「ニンジャ」、「ツル」、「ツバメ」など。それは日本らしさがアピールポイントになる海外市場ならではのネーミングだった。

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