ブガッティ タイプ41 ロワイヤル(1926-1933 フランス)

ブガッティ

エットーレ・ブガッティが各国の王侯貴族へ向けて一切の妥協を排して構想した「ブガッティ タイプ41 ロワイヤル」は、威信と豪奢を極限まで追求した超大型サルーンである。ホイールベース4,300mm、全長6,400mmを超える長大な車台骨格を備え、車両重量は3トン以上に達した。ラジエーター頂部には、彫刻家であった弟レンブラント・ブガッティの手による立ち姿の象「ダンシング・エレファント」のマスコットが掲げられ、威容を象徴する造形となった。

動力部には、航空機用技術を転用した排気量12,763ccの巨大な水冷直列8気筒ユニットを搭載。シリンダーブロックとヘッドを一体鋳造した構造を持ち、わずか1,800rpmで約300psを発生する低回転高トルク特性を実現した。変速機は後車軸側と一体化された3速仕様を採用。24インチ径のアルミ鋳造ホイールや大径ドラムブレーキを組み合わせ、重量級の車体を滑らかに巡航させる剛健な足回りが構築された。

当初は25台の限定生産を計画していたものの、1929年の世界恐慌の余波を受け、王侯貴族への販売は実現しなかった。最終的に完成したシャシーはわずか6台にとどまり、社内製「クーペ・ナポレオン」をはじめ、バインダーやケルナー、パークウォードなどの著名な車体製造工房の手で一台ごとに異なるボディが架装された。豪壮を極めたスタイリングと希少性は、後世において自動車工芸の頂点として評価される要因となった。

量産化の縮小によって余剰となった長大な直列8気筒ユニットは、後にフランスの高速列車である「ブガッティ気動車(オートラーユ・ブガッティ)」へ転用されて大成功を収め、社の財政を支えることとなった。商業的な成功には恵まれなかったものの、至高の威信を具現化した孤高の超弩級サルーンとして、自動車の歴史にその名を深く刻んでいる。

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