1980年のトリノ・モーターショーで発表された「フェラーリ ピニン」は、カロッツェリア・ピニンファリーナの創業50周年を記念して製作された4ドアセダンフェラーリだった。その名はピニンファリーナの創業者、バッティスタ・“ピニン”・ファリーナへの敬意を表したもの。デザインは、シャープでエレガントな直線基調のスタイリングが特徴で、当時の高級サルーン市場への参入を意識したものだった。車両のベースは400GTであり、このホイールベースを50mm延長して後席のスペースを拡大。エンジンは512BB用の5.0リッター180°V12を搭載することで低いボンネットフード位置を実現していた。インテリアは豪華なタンレザーで仕立てられており、またセンターコンソールにはタッチセンサー式スイッチを配置するなど当時最新鋭の装備も取り入れられていた。エンツォ・フェラーリはこの車を気に入り市販化も検討されたが、財政的な問題や、ライバルの高級サルーン相当の品質が確保できない等の理由により市販はされなかった。ちなみにこの車は発表当時は走行不能なモックアップだったが、後にエンジンや駆動系が搭載されて走行可能な状態にレストアされた。

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