サッカー界で、かつて西ドイツの「皇帝」と呼ばれたフランツ・ベッケンバウアーは、90年代には三菱3000GT(日本名:GTO)を愛用し、オーストリアのキッツビューエルからドイツのミュンヘンへの通勤に使用していた。彼は3000GTの雪上もアウトバーンもこなせるそのハイパフォーマンスを気に入っていた。この縁もあり、ドイツでは彼の名前が付けられた特別な3000GTが30台限定で販売された。これがベッケンバウアーエディションだった。ボディカラーは黄色のみの設定。レムス製マフラーとOZ製のフッツーラホイールを装着し、車載電話も搭載。そしてBピラーにはベッケンバウアー自身のサインが入れられた。基本的にはドレスアップ要素の強い限定車となっていた。

ベッケンバウアーの名前が冠されたこのモデルだったが、当の本人は派手な黄色が気に入らなかったため、この車を運転しなかったと言われる。しかし、3000GT自体への愛着はあり、マイナーチェンジ後の中期型も愛用していた。

ちなみに、三菱GTO(3000GT)前期型のフロントマスクは仕向け地により仕立てが違っており、見た目から受ける印象もそこそこ異なるものだった。日本や米国仕様ではリトラクタブルヘッドランプ前にポジションランプが存在。ただし、欧州などのヘッドランプウォッシャーの設定がある仕向け地ではここが廃されてボディ同色となり、ウォッシャーノズルが付けられていた。またフロントバンパーのブラックアウト部分もボディ同色となっており、その両サイドにポジションランプが配置されていた。ドイツ仕様は後者となっていた。

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