アルファロメオ GTV(1994-2004 イタリア)

アルファロメオ

1994年のパリ・モーターショーで発表されたGTVは、伝統のFR方式からFF(前輪駆動)方式へと舵を切ったスポーツクーペである。ピニンファリーナ在籍時のエンリコ・フミアが手掛けたデザインは、深く刻まれたサイドのキャラクターラインと4灯式プロジェクターランプを特徴とし、極端なウェッジシェイプによって独自の存在感を放っていた。

パワーユニットは、1.8Lおよび2.0L 直列4気筒DOHCの「ツインスパーク」と、伝統のV型6気筒エンジンが設定された。2.0L仕様は最高出力150馬力を発生。一方、アレーゼ工場で生産され、その澄んだ響きから「アレーゼのバイオリン」と称される3.0L V6 24バルブ仕様は最高出力220馬力(後期型3.2Lでは240馬力)を誇り、官能的なエンジンサウンドは同車の大きな魅力とされている。また、イタリア国内の税制(2.0L以上の排気量に対する高額な付加価値税)を睨んだ2.0L V6 SOHCターボ(200馬力)も一部地域では導入された。トランスミッションは、4気筒モデルに5速MT、V6モデルには5速または6速MTが組み合わされた。

シャシー面では、専用設計のマルチリンク式リアサスペンションが技術的な核となっている。この機構は旋回時の横Gに応じ、初期段階では外輪をわずかにトーアウトさせて回頭性を高め、荷重が乗り切る旋回後半にはトーインへと転じて安定性を確保する。この二段階のパッシブステア挙動により、FF車特有のアンダーステアを抑えた俊敏なハンドリングを実現していた。

車両重量はモデルにより1,350kgから1,420kgで、実用的な2+2のレイアウトを持ちつつも、純粋なドライビングの愉しさを追求したパッケージングとなっている。1990年代のアルファロメオにおいて、大胆な意匠と高度なサスペンション理論を融合させた、ブランド再生を象徴する一台である。

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