ジャガーが1957年のDタイプ以来のルマン制覇を狙うべく開発したマシン。ジャガーのレーシングカーとしては初のミドシップを採用。搭載されるエンジンは、ドライサンプ潤滑のアルミブロック 5.0L V12 DOHCで、ルーカス製の燃料噴射装置と組み合わせて502馬力、53.4kg-mを発生。これをアルミニウム製のモノコックにストレスマウントしていた。レーシングカーでありながらジャガーらしい美しいボディは、DタイプやEタイプも手掛けた空力学者のマルコム・セイヤーによるデザイン。ジャガーはこのマシンをルマンに持ち込み、熾烈なフェラーリとフォードの争いに自らも加わる予定だった。しかし、競争の激化によるスピード上昇の抑止策としてFIAが1968年のプロトタイプクラスの排気量を3.0L以下と制限してしまったため、この排気量をオーバーしてしまうジャガーXJ13は活躍の場を失い、実戦を戦う事は無かった。
ジャガー XJ13は1台のみが製作された。1971年、Eタイプ シリーズⅢにV12エンジンが搭載されるタイミングで、プロモーションのため久々にXJ13が公の目の前に姿を見せる。しかし、MIRAのバンクを走行中に160mphでコントロールを失い横転、マシンは大破した。見るも無残な状態だったボディワークのほとんどすべてを作り直し、見事復旧したのが現在の姿である。
画像ギャラリー