当時クライスラー会長であったリー・アイアコッカはメルセデスベンツSLに対抗する2シーターオープンモデルを市場投入するにあたり、旧知のアレッサンドロ・デトマソとの縁を生かしてマセラティブランドを使用した。TC バイ マセラティと名付けられたこの車は、ルバロンなどに採用されていた小型前輪駆動車用Kプラットフォームを短縮したQプラットフォームを使用。エンジンは標準で160馬力の2.2L 直4ターボを搭載、のちに三菱製6G72型3.0L V6 141馬力へと換装された。しかしわずか500台限定でより特別なエンジンを搭載したモデルも用意された。これは標準の2.2L 直4をベースにコスワース設計の16バルブDOHCヘッドを組み合わせ、マセラティの手により製造されたもので200馬力の高出力を発生、ゲトラグ製5速マニュアルと組み合わされた。TC バイ マセラティの車体や内装の組付けはイタリア国内で行われており、製造には大きなコストがかかっていた。しかし、他社の同様なモデルに対していまひとつ魅力に欠け、さらに自社内のより安価なルバロン コンバーチブルと競合してしまった影響などもあり販売台数は低迷、クライスラーとマセラティのタッグは失敗に終わってしまった。
これはクライスラーとマセラティが共同開発した、コスワース16V DOHCヘッドを持つ2.2Lの直4 ターボエンジン。TC バイ マセラティのうち500台にだけ搭載されたスペシャルメイドのエンジンだった。
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