ディーゼルエンジンのシェアが広がっていく当時の欧州市場において、AMGが開発したハイパフォーマンスディーゼルモデルがこの車。エンジンは標準のCクラスやEクラスなどに搭載されていた2.7LのOM612型 直列5気筒 DOHC 20V ディーゼルターボをベースとしていた。AMGはこのエンジンのストロークを拡大し3.0Lへと排気量アップ。またシリンダーヘッドの改造、クランクシャフトの変更、強化ピストン、大型の空冷式インタークーラーなどを採用してパワーアップ。228馬力と55.0kg-mの強大なトルクを得た。これを5速ATと組み合わせて0-100km/hは6.8秒、最高速度はスピードリミッターが作動する250km/hに到達。また足回りやブレーキなどはガソリンエンジンモデルのC32 AMG相当のものが与えられハイパフォーマンスに見合ったものとなっていた。ボディスタイルはセダン、エステートのほか、スポーツクーペも用意されたのが特徴だった。しかし、ほかのガソリンエンジンスポーツモデルよりも動力性能が劣り重量が嵩む上に高価だったことが災いし、このモデルの販売は691台と低迷した。現在となってはAMGが手掛けた乗用車では唯一のディーゼルエンジンモデルとして貴重な存在である。
本文中で「AMGが手掛けた乗用車では唯一のディーゼルエンジンモデル」という書き方をしているのは、かつてAMGがMB 100 DというバンのAMG仕様を手掛けていたからです。このモデルにも直列5気筒ディーゼルターボ搭載モデルが存在しました。
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