190シリーズは小型で高品質のセダンとして高い評価を得ていたが、メルセデスベンツは次なる一手として、このスポーツバージョンを市場に投入した。エンジンは190E 2.3用の2.3L 直4 SOHC 8バルブをベースにしていたが、コスワース設計のシリンダーヘッドが与えられるなど大幅な改良を受けていた。アルミ合金製のそれは16バルブDOHC化されており、ベースの132馬力から185馬力、24.0kgmへと大きくパワーアップ。これにクロスレシオとされたオイルクーラー付きのゲトラグ製5MTを組み合わせ、LSDも標準装備された。足回りは固められ、フロントには284mmのベンチレーテッドディスクを採用。ブレーキ冷却性能に優れるアルミホイールは、205/55ZR15サイズのピレリP6と組み合わされた。さらに空力も重視され、大きなエアダム、サイドスカート、オーバーフェンダー、リアウイングを与えられるなど、当時のメルセデスベンツとしては異例なほどの派手なスタイルとなっていた。

190E 2.3-16はGr.Aホモロゲーションを獲得し、DTMなどのツーリングカーレースに参戦。1988年には排気量を拡大した2.5-16となり、さらにライバルであるBMW M3の影響もあり、より過激なエボリューションモデル(エボⅠ、エボⅡ)を投入。DTMでの激しい争いは今でも語り草となっている。

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