かつて、キャロル・シェルビーとタッグを組んで生み出した「AC コブラ」で名声を得たACカーズが初めて手掛けたミドシップスポーツカー。これは元ローラの技術者が手掛けたボハンナ・ステーブル社製のプロトタイプ「ディアブロ」をベースとし、ACカーズが設計権を取得して再設計したものだった。3000MEの車体はペリメーターフレーム式シャシーにFRP製ボディを組み合わせたもの。ディアブロではオースチン マキシ用パワートレーンが想定されていたが、これは138馬力のフォード製3.0L V6 エセックスエンジンとAC製5速ギアボックスを組み合わせたものへと変更を受けた。3000MEは73年にプロトタイプが披露され74年から生産開始の予定だったが、量産化に向けた再設計が思うように進まなかった事から、最初の納車は79年まで先延ばしされてしまった。これがこの車にとっては大きな痛手となった。市場にリリースされた頃にはロータス エスプリとの真っ向勝負となってしまい、これに対抗する性能を持ち合わせておらず価格競争力も無かった。エンジンの非力さを補うために200馬力のターボ仕様も製造されたが、3000MEは結局80台程度の少数生産に留まった。

3000MEは本家ACカーズで生産を終了した後、その生産権を獲得したスコットランドの会社によって30台ほどが追加生産されていた。さらにここでは3000MEの改良版も構想されており、アルファロメオから主要なランニングパーツの供給を受ける計画であった。この個体はそのプロトタイプであり、ブッソーネV6、アルフェッタGT用のホイールなど、アルファロメオの血が入っていることが見て取れる。

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