オースチン メトロ(1980-1990 イギリス)

オースチン

1980年10月に登場した「オースチン メトロ」は、経営危機下のブリティッシュ レイランド(BL)が名車ミニの近代化を掲げて送り出した小型ハッチバックである。当初は知名度を活かして「ミニ メトロ」の名で投入。最新鋭の自動化設備を備えたロングブリッジ工場で生産され、フォード フィエスタをはじめとする欧州のライバルに対抗すべく優れた空間効率を追求した。

車体構造はエンジン横置き前輪駆動を採用し、当初は3ドアで発売。ミニ譲りのトランスミッション一体型構造を受け継ぎつつ室内空間を拡大した。足回りにはハイドラガスサスペンションを導入したものの、コスト削減によって前後相互連絡配管が省かれた独立式だったため、硬い乗り心地や前後ピッチングが指摘された。実用面では分割可倒式リアシートを備え、1984年には5ドアも追加された。

心臓部には改良型「Aプラス」直列4気筒OHVエンジンを搭載。1.0リッター(44hp〜46hp)と1.3リッター(63hp)を用意し、4速マニュアルが組み合わされた。1982年秋には1.3リッターに4速オートマチックも設定。のちに高性能版の「MGメトロ」や過給器を備えた「ターボ」も加わり、スポーティなイメージの牽引を図った。

英国市場では約100万台強を販売するベストセラーとなり、世界累計生産約150万台を記録してBLの屋台骨を支えた一方、欧州輸出は振るわず投資回収に課題を残した。1987年のオースチン名廃止を経て、1990年には新世代Kシリーズエンジンと前後相互連絡式ハイドラガスを得た「ローバー メトロ」へ大幅改良を受け、その血統を次世代へ引き継いだ。

1980年、結婚前のダイアナ・スペンサーは、ロンドンで幼稚園教員の助手を務めていた。彼女の通勤の足は、チャールズ皇太子が購入して彼女に贈った赤いオースチン ミニ メトロであった。交際が報じられると、パパラッチに追われながら自らハンドルを握って通勤する姿が連日報道され、一躍世間の注目を集めた。王室の格式とは対照的な大衆車を日常的に操るその飾り気のない姿は、親しみやすいプリンセス像を印象づける原点となった。

関連ブログ

MG メトロ 6R4(1985-1986 イギリス)
1984年5月にプロトタイプが公開され、1985年11月にグループB公認を取得して実戦投入された「MG メトロ 6R4」は、オースチン・ローバーが世界ラリー選手権(WRC)参戦を目的に開発したコンペティションモデルである。車名は「6気筒」「…

画像ギャラリー

タイトルとURLをコピーしました