1995年に日産のモータースポーツ部門であるニスモが製作した「ニスモ GT-R LM」は、ル・マン24時間レースのLM GT1クラス参戦を目的に開発された公道走行可能なホモロゲーションモデルである。当時のGT1規定は公道用ナンバープレートを取得可能な車両の存在を要求しており、要件を満たすためにイギリスで車両登録された1台のみが製造された。BCNR33型スカイラインGT-Rをベースとしつつ、耐久レースでの戦闘力を引き上げるための抜本的な再構築が施された。
外観はレース車両と共通のエアロダイナミクスを反映し、前後のフェンダーを左右50mmずつ拡大して全幅を1,880mmへとワイド化。空気抵抗の低減とダウンフォースの獲得を狙った専用フロントバンパーや大型スポイラーを装備した。駆動方式には、ベースモデルの象徴であった電子制御4輪駆動「アテーサE-TS」を排し、後輪駆動を採用。レース車両としての軽量化と駆動系の熱負荷低減、整備性の向上を意図した大幅な設計変更であった。
動力部には、排気量2,568ccの直列6気筒DOHCツインターボ「RB26DETT型」を搭載。公道仕様としての扱いやすさや信頼性を考慮したセッティングが施され、(300ps、38.0 kgm)を発揮。変速機には5速マニュアルを組み合わせ、後輪の駆動軸へ確固たる駆動力を伝達した。サスペンションは4輪独立懸架のマルチリンク式を踏襲しつつ、拡幅されたトレッドに合わせてアーム類やジオメトリーが最適化された。
同年のル・マン24時間レースでは競技仕様が総合10位(クラス5位)で完走を果たし、翌1996年には総合15位(クラス10位)を記録。ホモロゲーション取得のために作られた唯一のロードカーは市販されず、現在は日産の座間事業所(日産ヘリテージコレクション)に動態保存されている。規定の合間を突いて開発された究極のGT-Rとして、1990年代半ばのグループGT1黄金期を象徴する希少な実験作である。

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