日産 ザウルス(1987 日本)

日産

1987年の第27回東京モーターショーで公開された「日産 ザウルス」は、走る楽しさの原点回帰を掲げて開発されたオープン2シータースポーツのコンセプトカーである。フロントウインドウを最小限のエアロスクリーンへと置き換えたスピードスタースタイルを採り、無駄な装備を削ぎ落としたスパルタンな意匠を提示。当時進められていた技術革新のなかで、ドライバーと機械のダイレクトな対話を純粋に追求するモデルとして注目を集めた。

車体構造には鋼管スペースフレームを採用し、軽量なFRP製外板を架装。動力部には、パルサーやサニーの高性能仕様に積まれていた排気量1,598ccの直列4気筒DOHC16バルブ「CA16DE型」(120ps/6,400rpm、14.0 kgm/5,200rpm)を採用し、座席後方にミドシップ配置した。足回りには4輪ダブルウィッシュボーン式独立懸架を備え、軽量な車重と優れた前後重量配分を活かした俊敏な回頭性と正確な操舵応答性を実現した。

公道向け市販モデルとしての量産は見送られたものの、日産とニスモはこの独創的な基本設計をモータースポーツ普及のための車両へと発展させた。専用の鋼管フレームにシングルシーター調のカウルを組み合わせた競技専用車両「ザウルス(NS89)」を開発し、1989年よりワンメイクレース「ザウルス・カップ」を創設。イコールコンディションで若手育成やアマチュア競技の活性化を図る舞台を提供した。

1991年には、マーチの駆動系を用いた入門用マシン「ザウルスジュニア」も追加され、国内のステップアップカテゴリーとして確固たる地位を築いた。1990年代初頭のバブル景気と日産の技術高揚期を象徴する存在であり、ショーモデルの枠にとどまらず本格的なレース文化の醸成へと直結した、日本の自動車史においても極めて個性的な試作スポーツカーとして記録されている。

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