日産 CUE-X(1985 日本)

日産

1985年の第26回東京モーターショーで公開された「日産 CUE-X」は、次世代のフラッグシップサルーン像を提示した高性能コンセプトカーである。空力性能を突き詰めた滑らかなフラッシュサーフェスボディを纏い、前面投影面積の低減や整流の徹底によりCd値0.24を達成。車速に応じて自動展開する可変スポイラーを備えるなど、高速巡航時の走行安定性を高める先進的なエアロダイナミクス技術が盛り込まれた。

動力部には、排気量2,960ccのV型6気筒DOHCにツインターボとインタークーラーを組み合わせた「VG30DET型」(300ps、40.0 kgm)を搭載。駆動方式には電子制御トルクスプリット式フルタイム4WDを採用し、強大な駆動力を路面へ効率的に伝達する設計とした。さらに電子制御4輪操舵機構や、路面状況を瞬時に判断して減衰力と姿勢を制御するアクティブサスペンションを統合し、優れた回頭性と操縦安定性を両立させた。

室内には、ドライブ・バイ・ワイヤによる電子制御スロットルや、車内通信を結ぶ光ファイバーネットワークを導入。計器類には多彩な車両情報をグラフィカルに映し出す液晶メーターを配置し、センターコンソールにはナビゲーションや空調、オーディオを一括操作可能な大型CRTディスプレイを配置した。1980年代半ばの段階で、現在のインフォテインメントシステムに通じる集中制御思想を先駆けて具現化していた。

端正なフォルムやグリルレス調のノーズデザイン、卓越した走行性能を重視したパッケージングは、1989年に登場した高級セダン「インフィニティ Q45」へと色濃く受け継がれた。1990年代に向けた日産の技術開発指針を明確に示すとともに、伝統的な装飾過多の高級車像から脱却し、走りの質と先端電子技術で世界市場へ挑むブランドの礎を築いた実験的プロトタイプとして記録されている。

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