日産 シルビア(1965-1968 日本)

日産

1964年の第11回全日本自動車ショーに「ダットサン クーペ1500」の名称で参考出品された「日産 シルビア(CSP311型)」は、1965年4月に発売された高級パーソナルクーペである。開発初期から「ダットサン クーペ1500」として検討が進められていたが、格調高い仕立てに合わせて日産ブランドを冠して市場投入された。車体造形にはアルブレヒト・フォン・ゲルツの助言を取り入れ、継ぎ目を極限まで排した「クリスプ・カット」と呼ばれるシャープな直線基調の造形を確立した。

車体骨格にはオープンスポーツカー「フェアレディ」譲りの頑強なX型バックボーンフレームを採用。外板パネルは手作業による叩き出し成形を多用し、溶接後に継ぎ目を半田で埋めて平滑に仕上げる高度な工法が採られた。この精密な手法により、つなぎ目の見えない彫刻的なクーペフォルムを獲得。車内にはウッドステアリングや独立した丸型多眼メーター、上質なビニールレザーシートが配され、GTカーにふさわしい居住空間が構築された。

フロントに配置された動力部には、排気量1,567ccの水冷直列4気筒OHV「R型」ユニットを搭載。SUツインキャブレターを備え、90psのパワーとメーカー公式数値である13.5 kgmの最大トルクを発生させた。ポルシェシンクロを採用した4速マニュアル変速機を組み合わせ、後車軸へ効率的に駆動力を伝達。足回りには前輪ダブルウィッシュボーン式、後部にリーフスプリング式を配し、前輪ディスクブレーキの採用により確かな制動性を確保した。

卓越した高速巡航力に着目され、1965年12月には第三京浜道路の開通に合わせて神奈川県警察のパトロールカーとして配備され、交通取締業務に従事した。手作業主体の生産工程により車両価格は極めて高額に設定され、1968年の生産終了までの総生産台数は554台にとどまった。大量生産の道を歩んだ後継車群とは異なり、手作業による精密な車体構築と洗練された運動性能を融合させた希少な高級クーペである。

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