豪州三菱(MMAL)が送り出した「マグナ ラリーアート」は、オーストラリア市場で覇権を争っていたホールデン コモドアやフォード ファルコンのスポーツモデルに対抗すべく企画された高性能セダンである。ベースとなった「マグナ」は日本の2代目「ディアマンテ」と基本骨格を共有する兄弟車であり、アデレードのトンスリーパーク工場で現地生産されていた。シリアルプレートが与えられた限定500台のうち、約100台はニュージーランド市場へ「ディアマンテ ラリーアート」の車名で輸出、販売された経緯を持つ。
パワートレーンには、自然吸気の3.5リッターV型6気筒SOHC「6G74」エンジンを搭載。ハイカムや専用シリンダーヘッド、圧縮比の引き上げ(9.4:1)、専用ステンレス製エキゾーストの採用により、ベースとなったスポーツグレード「VR-X」の163kW(約222ps)から、180kW(約245ps)、最大トルク333Nmまで性能を引き上げた。ヘリカルLSDを標準装備する5速MT(約130台)と、電子制御TCL(トラクションコントロール)を組み合わせたマニュアルモード付5速AT(約370台)が設定された。
シャシーは、VR-X共通レートのスプリングを踏襲しつつ、KONI社と共同開発した専用ダンパーを組み合わせた。さらに専用の大径スタビライザーを組み込むことで、FF大トルク車のロール挙動を抑制している。足元にはランサーエボリューションVIIと同デザインの17インチ、エンケイ製アルミホイールを収め、外観にもランエボをモチーフとした専用フロントバンパーや大型リアスポイラーが奢られた。
大排気量V6が発揮する豊かなトルクを前輪のみで受け止めるため激しいトルクステアを伴ったが、引き締められた足回りと相まって豪快な操縦フィールは現地の愛好家から高く評価された。大人しい実用セダンであったディアマンテ/マグナの素性に、当時WRCで黄金期を築いていたラリーアートの血統を注ぎ込んだ異色の意欲作であり、豪州三菱の現地生産史において最も情熱的なフラッグシップとして語り継がれている。

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