1989年の第28回東京モーターショーで公開された「ファミリア SPORT-4(スポルト4)」は、WRC(世界ラリー選手権)参戦を見据えて開発されたコンセプトカーである。同年に登場した7代目ファミリア(BG型)の3ドア「GT-X」をベースに開発。当時グループAで猛威を振るっていたランチア デルタに対抗すべく、将来の市販化とホモロゲーション取得を視野に置いた過激なスタディモデルとして企画された。
パワートレーンには、1.8リッター直列4気筒DOHCターボを搭載。大型インタークーラーの採用や過給圧の引き上げ、吸排気系の徹底的な見直しにより、ベース車の180psから220psへと出力を高めた。駆動系には市販型GT-Xで採用されていたフルタイム4WDシステムを踏襲。遊星歯車式センターデフにより前後駆動力配分を旋回性重視の「前43:後57」に設定し、センターおよびリアデフにビスカスLSDを装備、4輪ABSも組み込まれた。単なる展示用モックアップにとどまらず、走行可能な実動車両として仕立てられていた。
外観は、大型丸型フォグランプを配した専用フロントバンパーや張り出した前後ブリスターフェンダーによって全幅1740mmの3ナンバーサイズへ拡幅され、ルーフ後端からは巨大なハイマウント型ルーフウイングが屹立する。サスペンションはアーム延長によりトレッドを前1490mm/リア1495mmへと大幅に拡大。冷却ルーバーを備えたボンネットには当時先進的なCFRP(カーボンファイバー)素材が奢られ、強固なロールケージや大型エアロパーツを装着しながらも、徹底した軽量化により車重はベース車のGT-Xと同等の1160kgに抑えられていた。
量産化は見送られたが、当モデルで追求されたアグレッシブな冷却レイアウトや軽量化、空力設計の知見は、1992年にグループAホモロゲーションモデルとして登場した「ファミリア GT-R」へと受け継がれた。グループBマシンを彷彿とさせる武闘派の出で立ちは、ラリー黄金期におけるマツダの強い闘志と技術的野心を伝えるコンセプトモデルである。

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