アストンマーティン V8 シグネット(2018 イギリス)

アストンマーティン

2018年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公開された「アストンマーティン V8 シグネット」は、ある顧客の要望に応え同社のビスポーク部門「Q by アストンマーティン」が手掛けたワンオフモデルである。都市型スモール「シグネット」の車体へ、スポーツクーペ「ヴァンテージS」の走りの根幹を移植するという常識外の着想から誕生した。

車体はモノコックの要所を切り落とし、フロアパネルとバルクヘッドを新造してスチール製ロールケージを一体溶接。ヴァンテージSの前後サブフレームを丸ごと結合し、独立懸架ダブルウィッシュボーンと大径ブレーキを収めた。大幅に拡大されたトレッドに対応するため、カーボンファイバー製の大型フェンダーフレアを前後に装着している。

動力源には4.7リッター自然吸気V型8気筒をフロントに縦置き配置。430 hpを発生し、極小の前後軸間に合わせて短縮加工された特注トルクチューブを介して後部の7速変速機へ動力を伝達する。車重は約1,375kgに抑えられ、前後重量配分「50対50」を達成。時速60マイル(約96km/h)加速4.2秒、最高速度は約274km/hを記録した。

内装はバケットシートや競技用ハーネス、カーボン製ダッシュボードを備えた純然たるレーシング仕様とし、後部にはFIA公認基準の燃料セルを配置。環境対応の象徴として生まれた超小型車に大排気量V8と後輪駆動システムを凝縮させた本作は、名門が誇る高度な技術を惜しみなく注ぎ込み、真面目に遊び心を追求した唯一無二のマシンとして、今なお自動車ファンの間で語り継がれている。

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