1989年にゼネラルモーターズ(GM)の開発技術陣が試作した「シボレー コルベット ZR-2」は、通称「ビッグ・ドギー」の名で知られる実験車両である。当時、ロータス社との共同開発によるDOHC 32バルブユニットを積むZR-1の開発が進められていたが、ハイテク構造に伴う高額な製造コストが課題となっていた。そこで、伝統的な大排気量OHVユニットを用いて低コストに同等以上の運動性能を達成可能か探る目的で、試作プロジェクトが立ち上げられた。
動力部には、排気量454立方インチ(約7.4L)のシボレー製V型8気筒OHV「ビッグブロック」を前部に縦置き搭載。電子制御燃料噴射(EFI)を組み合わせ、約400psのパワーと強大な低中速トルクを発生させた。変速機には新採用のZF製6速マニュアルを組み合わせ、大トルクを確実に後輪へ伝達。狭小なエンジンルームへ巨大なV8を収めるため、補機類やマウント部に専用の加工が施された。
ベース車両には脱着式ハードトップを装着したコンバーチブルが選定され、大トルクに対する車台剛性の検証も兼ねていた。外装色は鮮やかなハガーオレンジで彩られ、テールパネルに「ZR-2」のバッジを配置。強化サスペンションと17インチの純正アルミホイールを装着しながら、ワイドフェンダーを持つZR-1とは対照的に、標準幅の控えめな車体を保った。
テストでは圧倒的な加速力を発揮したものの、排出ガス規制や燃費基準への適合、鋳鉄製大型V8による重量増と運動バランスの課題から量産化は見送られた。GMのヘリテージ部門で長年保管されたのち、2009年のオークションで一般へ売却。1971年の第3世代に設定された伝説的コード「ZR2」を継承し、C4世代におけるビッグブロック復活の可能性を検証した意欲的な試作モデルである。

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