ザガート ズーマ(1998 イタリア)

ザガート

1998年に公開された「ザガート ズーマ」は、イタリアの名門カロッツェリアであるザガートが製作した2ドアクーペの試作車である。ドイツのアウディが展開する前輪駆動ハッチバック「A3(8L型)」の基本骨格をベースに開発。従来のスポーツクーペの枠にとらわれず、当時欧州で台頭していた直噴ディーゼル技術と独自の車体造形を組み合わせた実験的モデルとして企画された。

車体意匠は、有機的な曲面とエッジを組み合わせた塊感の強い造形が特徴である。ノーズ先端を高く保ったフロントマスクには横長の細いエアインテークと透明カバー付きヘッドライトを収め、下部に丸形フォグランプを配置。側面ではドア後方のパーティングラインで面を一度深く絞り込み、後輪フェンダーに向けて大きく張り出させる立体的な段差処理を取り入れた。ルーフにはザガートの象徴であるダブルバブル形状が与えられている。

動力部には、ベース車両であるアウディ A3から受け継いだ直列4気筒直噴ターボディーゼル「TDI」ユニットを搭載し、マニュアル変速機を介して前輪を駆動する構成を採用した。クーペでありながら低回転から実用的な駆動力を生み出すディーゼルを選択した点に特色があり、車体後部には「TDI」のエンブレムが配されている。量産化を企図したプロジェクトではなく、ショーカーとして1台のみが製作された。

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