1974年に登場した「ポルシェ 911 カレラRS 3.0」は、前年に成功を収めたカレラRS 2.7の発展型として、FIAグループ3およびグループ4公認の獲得を目的に開発された競技直系のホモロゲーションモデルである。衝撃吸収バンパーを備えたGシリーズの車台をベースに製作され、公道仕様と競技専用車「RSR 3.0」を合わせて約109台のみが製造された。極めて限られた生産数により、レース用ベース車両としての性格をいっそう鮮明にした。
車体には薄板鋼板や軽量ガラスが多用され、公道仕様でありながら車両重量約1,060kgを達成。外観上は前年型の競技仕様を受け継ぐ大きく張り出した前後フェンダーを備え、前8J、後9Jのワイドホイールを装着した。エンジンフード後端にはラバー製エッジを持つ大型トレイ型スポイラーが備わり、高速域での確実なダウンフォースを創出。制動系には純レーシングマシン「917」由来の対向4ピストン式アルミキャリパーとドリルドローターが組み込まれた。
動力部には、排気量2,994ccの空冷水平対向6気筒ユニット(230ps/6,200rpm、28.0 kgm/5,000rpm)を搭載。シリンダーボアを95mmへと拡大し、ボッシュ製機械式燃料噴射装置との組み合わせによって鋭いスロットル応答と高回転域での力強いトルク特性を両立した。変速機には専用オイルクーラーを接続した強化型5速マニュアル「915型」が組み合わされ、車体後端に配置されたパワーユニットから後輪へと駆動力を伝達した。
サーキットにおいては純競技仕様のRSR 3.0が世界各地の耐久レースで数々の勝利を重ね、公道仕様のRS 3.0も妥協のない運動性能を示した。本モデルで確立されたワイドフェンダーの骨格や大型スポイラーの意匠は、翌1975年に発売される「911ターボ(930型)」の設計基盤として直接受け継がれた。自然吸気空冷ユニットを積むファクトリー製ホモロゲーションモデルの頂点として、今なお格別の存在感を放っている。

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