ボシャート B300 ビターボ(1989 西ドイツ)

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1989年のフランクフルト・モーターショーで発表された「ボシャート B300 ビターボ」は、伝説の名車300SLへのオマージュとして開発された特装クーペである。独技術者ハルトムート・ボシャートが構想し、メルセデスベンツ300CE(C124)を基に、実用的な4座空間とガルウィングドアを兼ね備えた現代版300SLの創出を目指した。

車体構造はホイールベースを約25cm短縮してCピラーを前進させ、後部オーバーハングも同等に切り詰めることで独特のプロポーションを構築。最大のハイライトである電動油圧式ガルウィングドアの架装は伊ザガートが担当し、Bピラーを排しながらも強固なサイドシル補強により剛性を確保した。外観はC124を基調としつつ新型SL(R129)のフロントマスクや前席シートを移植し、優美さと洗練を両立させた。

心臓部には12バルブのM103型3.0リッター直列6気筒にモッセルマン製ツインターボを組み込み、283psのハイパワーを発揮。しかし複雑を極める製造工程とSクラス最上級車を遥かに上回る超高価格が障壁となり、象徴たるガルウィング仕様として完成したのは最初の1台のみにとどまった。

その後、量産化に向けて通常のヒンジドア仕様へと変更。24バルブのM104型にツインターボを組み合わせた「B300-24 Sport」として世に送り出され、ガルウィング1台とヒンジドア10台の計11台のみが生産された稀少なコレクターズピースとして語り継がれている。

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