2019年に公開された「アキュラ スーパーハンドリング SLX」は、1990年代の車体を最新の運動技術で甦らせたワンオフのレストモッドである。80〜90年代の自動車文化を讃えるイベント「RADwood」への出展に向け、ホンダの北米研究開発部門が企画。かつていすゞからの供給で誕生した1997年型「SLX」を母体に選び、自社の四輪駆動技術の進化を象徴する特別仕様として製作された。
車体骨格である強靭なラダーフレームを維持しながら、動力部には3代目「RDX」の2.0リッター直列4気筒VTECターボと10速オートマチックを換装。大容量ターボや専用の吸排気系により350hpを発生する。さらに、後輪左右の駆動力を自在に配分する第4世代「SH-AWD(Super Handling-All Wheel Drive)」を移植し、旧世代のクロスカントリー車に現代水準の俊敏な旋回性能を与えた。
外観は1997年型当時の角張った造形を尊重し、クラシックなツートーン塗装とフィフティーン52製ホイールを採用。室内も当時の意匠を残しつつ、チェック柄のシート表皮などで上質かつノスタルジックに仕立てられた。電子式セレクターボタンを違和感なく収めるなど、細部まで精緻な工作が施されている。
他社供給に頼っていたかつての原点に、自社が磨き上げた最先端のシャシー制御を注ぎ込んだ試みは、ブランドの歩みを肯定的に振り返る遊び心に満ちている。懐かしい90年代の佇まいと意のままに曲がる卓越した走行性能を高度に融合させた、ユニークな記念碑的モデルである。

パワートレーンや四輪駆動システムの流用元となったアキュラRDXはこちら。シビックタイプRと同じ型式のK20Cエンジンを搭載し、VTECターボは276馬力を発生。これにSH-AWDシステムを組み合わせ、トルクベクタリングによる高いコーナリング性能を実現したSUVである。

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