ベルトーネ ジェネシス(1988 イタリア)

ベルトーネ

1988年のトリノ・モーターショーでイタリアの名門カロッツェリア・ベルトーネが発表した「ベルトーネ ジェネシス」は、スーパースポーツの動力機構を融合させた前衛的なワンボックス型コンセプトカーである。当時クライスラー傘下にあったランボルギーニとの協業によって具現化され、ミニバンという実用的な車体形式に最高峰の走行性能と最高級サルーン並みの居住空間を統合する試みとして大きな注目を集めた。

動力部には、ランボルギーニ カウンタック 5000クアトロバルボーレの排気量5,167cc V型12気筒DOHC 48バルブユニットを採用。キャビン前方の運転席と助手席の間にミドシップ配置され、455psのパワーを発揮した。組み合わされた変速機は、当時ランボルギーニを傘下に収めていたクライスラー製の3速トルクフライト・オートマチックであり、強大な駆動力を後輪へと伝達する構成をとった。

外観は、広大なフロントウインドウと滑らかにつながるモノフォルムのシルエットを形成。前席側には斜め前方へ跳ね上がるガルウィング方式のドア、後部座席側には電動スライドドアを採用した特徴的な乗降構造を持つ。アルカンターラ材で仕立てられた室内は、回転対座可能なシートアレンジやテレビモニターを備えた上質な移動空間として設計され、約1,800kgの車体を支える強固なスペースフレームが組み合わされた。

量産化を前提としたモデルではなかったものの、スーパーカーのV12ユニットをワンスペース空間に収めるという大胆な発想は、のちの高性能高級ミニバンの概念を先取りした試みとして語り継がれている。ワンオフで製作された個体は現在もイタリアの自動車歴史コレクションに保管され、80年代末におけるカロッツェリアの創造力と工学的野心を示す実験作として記録されている。

広大な車内スペースに2+1+2の贅沢なシート配置。その配置とスライドドアのおかげで3列目シートへのアクセスは非常に容易となっていた。

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