フェラーリ ディーノ206 コンペティツィオーネ プロトティーポ(1967 イタリア)

フェラーリ

1967年のフランクフルト・モーターショーで発表されたこのモデルは、ピニンファリーナのデザイナー、パオロ・マルティンの手による、自動車デザイン史に残る傑作コンセプトカーである。当時、フェラーリが進めていたミッドシップロードカー「ディーノ」の市販化を前に、そのレーシングスピリットと未来的なエアロダイナミクスを融合させたデザインスタディとして誕生した。

最大の特筆点は、単なるショーモデルではなく、本物のレーシングカーである「ディーノ206S」のシャシー(シャシーナンバー034)をベースに構築されている点にある。そのため、心臓部には最高出力160馬力を発生する2.0L V型6気筒「ディーノ」エンジンが縦置きミッドシップで搭載されている。流麗かつ過激なイエローのボディは、バブルキャノピー型のコックピットと、空力特性を追求したガルウィングドアを備え、当時のル・マン24時間レースなどを戦っていたプロトタイプマシンの意匠を色濃く反映している。

技術的なハイライトは、フロントとリアに装備された調整可能なウィングである。これは当時の最先端の空力理論に基づいたもので、高速走行時のダウンフォース獲得を狙った設計であった。また、パオロ・マルティンはこのプロジェクトをわずか4ヶ月で完成させたと言われており、その彫刻的かつ機能的なフォルムは、後の市販車「ディーノ206/246GT」のデザインに決定的な影響を与えた。

ピニン・ファリーナのパオロ・マルティンによる初期のスケッチ

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