プジョー 405 T16(1993-95 フランス)

プジョー

Gr.Bマシンのプジョー205ターボ16から派生した405ターボ16は、パイクスピークヒルクライムやパリダカールラリーで優勝を獲得するなど、モータースポーツで大活躍していた。このイメージをそのまま市販車に落とし込んだモデルが405 T16だった。駆動方式は、センターデフにビスカスカップリング式LSDを使用したフルタイム4WDで、前後の駆動配分は53:47に設定されていた。搭載されたのは2.0Lの直4 DOHC 16バルブエンジンで、これにギャレット製の可変ジオメトリーターボが組み合わされた。通常時の最高出力は200馬力、30.0kgmだが、スロットル全開から45秒間は可変ジオメトリーターボのオーバーブースト機能が働き、1.3バールの過給圧により220馬力、33.0kgmまで出力が向上する仕組みとなっていた。これにより1340kgと軽くはない車体ながら、0-100km/hは6.5秒、最高速度は235km/hを誇った。外装はノンターボのスポーツモデルであるMi16とほぼ変わらなかったが、ホイールは16インチへと1インチアップされていた。プジョーは当初、Gr.Aホモロゲーションを満たす5000台の生産を計画していたようだが、実際に生産されたのは1100台弱であった。

生産台数の少ない405T16ではあったが、実はそのうちの10台がフランス国家憲兵隊(日本で言う警察)の高速パトロール用に採用された。もともと405Mi16がテスト採用されていたが、追跡車両としての性能が不十分であり、405T16こそが彼らが求めたパトカーにふさわしい性能を持っていたのである。

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