1982年10月に登場した「MG メトロ ターボ」は、欧州で過熱していたホットハッチ市場へ投入した高性能モデルである。同年5月に登場した自然吸気版「MG メトロ」の上位に位置づけられ、ルノー5 アルピーヌ ターボやフォルクスワーゲン ゴルフ GTIに対抗すべく、ロータスエンジニアリングの協力を得て開発された。
パワートレーンには、BMC時代から続く1,275ccの「Aプラス」直列4気筒OHVエンジンを搭載。ギャレット製T3ターボチャージャーと電子制御ブースト調整機構、SUキャブレターを組み合わせ、出力はベース車の72hpから93hpへと大幅に引き上げられた。伝統のエンジンとトランスミッション一体構造を受け継ぐ4速MTにはクラッチやギアの強化が施され、力強い加速性能を実現した。
足回りには減衰力を高めた専用セッティングのハイドラガスサスペンションを採用し、専用ダンパーやフロントアンチロールバーを追加してロールを抑制。外観には専用フロントスポイラーやリアスポイラー、サイドデカールが与えられ、室内も赤いシートベルトや専用メーターでスポーティに仕立てられた。一方で、4速MTやトルクステアなど基本設計の古さも指摘された。
小型軽量な車体と過給ユニットによる軽快な走りは英国のエンスージアストから歓迎され、1989年の生産終了までに確かな存在感を示した。大衆車メトロの実用性を損なうことなく、伝統のMGバッジと過給技術を融合させた1980年代英国製ホットハッチの代表格として、今なおエンスーの間で根強い人気を保っている。

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