旧東ドイツの大衆車として知られるトラバントP601は1964年に登場し90年まで生産された長寿モデル。594ccの空冷2気筒2ストロークエンジンを搭載した前輪駆動車で、ボディにはデュロプラストと呼ばれる綿繊維を強化材とするFRPを使用していた。このトラバントP601をベースに、ラリー競技に参戦するために産み出されたのがP800 RSだった。エンジン排気量は771ccまで拡大され、その出力は26馬力から64馬力まで大幅に向上。フロントブレーキはディスク化、リアも大型ドラムブレーキへとアップデート。ボディにはロールバーが組み込まれ、5速マニュアルトランスミッションも装備された。このP800 RSはFIAのGr.Aホモロゲーションを得て国内外のラリーで活躍、1989年の1000湖ラリーでは出走3台が完走しクラス2~4位を獲得した。
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