1986年4月のトリノモーターショーで発表されたのがデルタ HF 4WD。当初はデルタの最高級モデルという位置付けの車であった。しかしWRCはGr.Bカテゴリーでの重大事故多発を受け、87年からGr.Aへと移行することが決定した。これを受け、Gr.Aベース車両として最適と判断されたデルタ HF 4WDはWRC参戦も見据えた開発が行われた。デルタのコンパクトな車体には、ビスカスカップリング式センターデフとリアにトルセンLSDを備えたフルタイム4WD機構が採用された。エンジンはテーマ用の1995cc 直4 DOHCターボ(装着タービンはギャレット製およびKKK製のいずれか)を搭載し、166馬力、26.0kgmを発生した。スペースの限られるエンジンルームに対してこのエンジンの搭載は冷却が大きな課題となり、バンパー開口を大幅に増やした上でナンバープレート裏には隠し開口を二つ設けていた。 デルタ HF 4WDのGr.Aホモロゲーションは87年初戦モンテカルロラリーのわずか1週間前にようやく認可を受けた。それは、タービン違いの2種類が存在したことから同一仕様5000台生産の基準を満たしていないとされ、追加生産が前提の暫定処置であった。しかし、無事にモンテカルロラリーに参戦したデルタ HF 4WDは見事デビューウィンを達成。これ以降は、幾度も進化しつつWRC最強マシンとして君臨していくことになる。

ラリー仕様車ではナンバープレート裏の隠し開口が確認できる。ただし生産車によっては開口が開いていないものもあったようで、のちに物言いが付くこととなった。

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