ジョン・ゴードンとジム・キーブルという二人の技術者によって開発されたイギリス製高性能GTカー。ボディスタイルはベルトーネに在籍していた若き日のジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたもので、彼の初期の作品のひとつ。車体は角断面の鋼管スペースフレームシャシーにFRP製ボディを架装するという、当時としては先進的な手法を採用していた。当初のプロトタイプには4.6Lのシボレー製V8を搭載。このプロトタイプは一度アメリカへと渡り、ゼネラルモータースの首脳の評価を受ける。コルベット開発技術者のゾーラ・アーカス=ダントフは、ゴードン キーブルへ高い評価を下し「この車はコルベットよりも速い」と言うほどだった。これにより、ゴードン キーブルにはコルベット用の最新パワートレーンが供給されることとなった。5.4L V8 OHVは300馬力を発生。0-100km/h加速を約6秒でこなし、最高速度は225km/h以上に達するという、当時の4シーターカーとしては世界最速クラスの性能を誇った。イギリスの技術、イタリアのデザイン、アメリカのパワフルなエンジンを組み合わせたゴードン キーブルはしかし、財政状況の悪化などによりわずか100台程度が生産されるにとどまった。

ゴードン キーブルのシンボルには、一見その高性能には不釣り合いな亀のキャラクターが与えられた。ある日、工場敷地内での記念撮影中に亀がたまたまフレームインした。この亀を持ち上げると、びっくりしておしっこを漏らしてしまった。このエピソードが、背景が黄色い亀のエンブレムの由来となった。

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