BMW 745i(1980-86 ドイツ)

BMW

初代7シリーズであるE23系は、ライバルであるメルセデスベンツSクラスに対抗すべく、4.4LのV12エンジンを搭載する745iを世に出す構想があった。しかしこのアイデアは石油危機の影響により一度引き下げざるを得ない状況に追い込まれた。ただし、このグレード自体は立ち消えにならず、745iは代わりに既存のビッグシックスをターボ過給して、そのネーミングに相当する性能を得ることになった。3.2Lの直6 SOHCエンジンにはKKK製K27ターボチャージャーとインタークーラーを装備し、252馬力を発生。これに3速オートマチックを組み合わせ、大柄な車体を220km/h以上まで加速させた。745iは83年の改良で排気量を3.4Lへと拡大。最高出力は変わらなかったが扱いやすさを向上させており、これに合わせてZF製のオートマチックトランスミッションも4速へとアップデートされた。また、この745iにはボッシュ製の4チャンネルABSが装備されていたのも特徴だった。そして、次世代のE32系750iにはついにV12エンジンが搭載されることとなった。

スポーツカーとしてハイパワーを狙って登場した2002ターボは、石油危機の影響下では過剰な性能と燃費の悪さについて世間から厳しい目で見られ、早々に生産停止に追い込まれた。他方、同様の環境下でも、745iはエンジン排気量をダウンサイジングするためのターボということで世に出ることが可能となった。同じBMWのターボモデルであっても、その性格と開発思想によって世間からの受け入れられ方が異なるのが面白いポイントである。

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