プジョー 206 グラン・ツーリスム(1999 フランス)

プジョー

プジョーがWRC参戦へのホモロゲーション取得を目的として、1999年に世界限定4,000台を生産した特別仕様車である。ベースとなったのは「206 S16」であり、当時のWRカー規定における「全長4,000mm以上」という条件を満たすために開発された。

最大の特徴は、前後バンパーを大幅に突き出した形状へと変更し、車体全長の延長を図った点にある。標準の206は全長3,835mmと規定に満たなかったが、本モデルでは大型の専用バンパーを採用することで、規定を上回る4,013mmを確保した。この延長分は純粋にオーバーハングの拡大に充てられており、競技車両における空力性能の向上や、大容量インタークーラーの配置スペース確保といった実利を優先した設計となっている。

エンジンは2.0L 直列4気筒 DOHC 16バルブを搭載。最高出力137馬力、最大トルク19.4kgmというスペックは、S16と共通である。足回りについてもS16の構成に準じるが、タイヤサイズは一回り大きな205/45R16が与えられた。

内装には本革とアルカンターラを組み合わせた専用シートや、シリアルナンバーが刻印されたプレートが装着され、限定車としての希少性が演出された。WRCでの勝利を目的として、物理的な全長を「規定に合わせる」ためだけに生み出されたその特異なフォルムは、ラリー・フィールドに特化したホモロゲーションモデルとしての立ち位置を象徴する一台である。

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