ルネ・ボネ ジェット(1962-1964 フランス)

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1962年に発表された「ルネ・ボネ ジェット」は、ドゥーシュ ボネ(DB)の解散を経てルネ・ボネが創設した独立メーカーにより開発された小型スポーツカーである。世界で最初期に市販化された公道用ミドシップ乗用車の一台に数えられ、同年のル・マン24時間耐久レースへの実戦投入と並行して開発が進められた。車体成形は航空宇宙・軍需分野を本業とし繊維強化プラスチック(FRP)の高度な成形技術を有していたマトラ社が担当。小排気量プロトタイプの競技車両が同年のル・マンで総合17位・1,000cc以下クラス優勝を果たし、その技術的成果が市販車両の開発へと直結された。

車体構造においては、初期生産車やル・マンをはじめとするレース仕様車に軽量かつ高剛性な鋼管スペースフレームが採用されていた。その後、市販化に伴う生産性の改善を図るため、中央に角型断面の鋼板部材を通した鋼板バックボーンフレームへと移行。その骨格上に軽量なFRP製外板を接着・締結することで、車両重量を約600kg前後に抑え込んだ。懸架装置には前後に不等長ダブルウィッシュボーンとコイルダンパーを備えた四輪独立懸架を配置し、ルノー 8から流用した四輪ディスクブレーキを標準装備。重量物を車台中央の内側に集約した低重心設計により、極めて機敏で安定した操縦特性を確保した。

動力部には、ルノー製の直列4気筒OHV「シエラ」系ユニットを座席背後に縦置きミドシップで搭載。前輪駆動商用車「ルノー・エスタフェット」用を前後反転して流用した4速マニュアルトランスアクスルを介して後輪を駆動した。「ジェットI」ではアメデ・ゴルディーニの手でチューニングされた996ccユニットを備え、65psの動力を発生。のちには排気量を1,108ccへと拡大した「ジェットII」も投入され、高回転域まで伸びやかな回転特性と軽快な加減速をもたらした。競技で培われた吸排気設計と軽量な車重が相まって、小排気量ながら優れた加速性能を発揮した。

先進的なミドシップ配置やル・マンでの実績は高い工学的評価を得たものの、凝った車体構造や高額な車両価格が障壁となり、ルネ・ボネ名義での生産数は約200台弱にとどまった。1964年に同社が経営難に陥ると、車体製造を担っていたマトラが事業を吸収。「マトラ・ボネ ジェット」へと発展改修され、のちのマトラ製量産スポーツカー展開の礎となった。レース仕様での鋼管スペースフレームから市販型のバックボーン構造への変遷を含め、純競技技術を市販車へと落とし込む過程で生じた工学的葛藤と挑戦を物語る歴史的モデルである。

このジェットは鋼管スペースフレームを持つ競技仕様である

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