BMW 333i(1985-1987 南アフリカ)

BMW

1985年に登場した「BMW 333i」は、南アフリカ共和国のBMW現地法人(BMWサウスアフリカ)がアルピナの協力を得て開発した2ドアセダンである。当時、左ハンドル仕様のみで右ハンドル市場への導入が見送られたE30型「M3」の代替として企画。現地のグループ1ツーリングカー選手権参戦を見据え、小型の2ドア車体にフラッグシップサルーン用の大排気量直列6気筒を詰め込むという手法で誕生した南アフリカ専売のホモロゲーションモデルである。

動力部には、最上級サルーンである7シリーズ「733i(E23型)」などに採用されていた排気量3,210ccの直列6気筒SOHC「M30B32型」を移植。アルピナ製のインテークマニホールドや専用カムシャフト、ボッシュ製電子制御燃料噴射「Lジェトロニック」を組み合わせ、(197ps/5,500rpm、29.1 kgm/4,250rpm)を発揮した。変速機には1速を左下に配したゲトラグ製5速クロスレシオマニュアル(通称ドッグレッグ)を結合し、ZF製リミテッドスリップデフ(LSD)を介して後輪を駆動した。

大柄な直列6気筒をコンパクトなエンジンルームに収めた結果、補機類の配置スペースが厳しく制限され、購入時に「エアコン」または「パワーステアリング」のどちらか一方しか選択できない構造的制約が生じた。足回りにはビルシュタイン製ダンパーやアルピナ製スプリングを組み込み、フロントにはアルピナ製スリット入りベンチレーテッドディスクブレーキを採用。16インチのアルピナ製マルチスポークアルミホイールを標準装備した。

外装には専用の前後スポイラーやサイドストライプが奢られ、室内にはアルピナ製ステアリングやメーターが配された。1985年から1987年までの生産期間中に約200台(プロトタイプを含め約204台)が製造され、南アフリカ国内のツーリングカーレースで目覚ましい戦果を記録。右ハンドル圏が生んだ独自の過激なハイパフォーマンスサルーンとして、BMW史において極めて特異な輝きを放っている。

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