2001年10月に開催された第35回東京モーターショーで本田技研工業が公開した「ブルドッグ(BULLDOG)」は、1980年代の「シティ ターボII」の愛称を受け継ぎ、21世紀のストリートカルチャーに向けて再構築されたコンセプトモデルである。若年層のアクティブな生活様式を意識した道具感あふれる外観を採用。四隅に踏ん張る大径タイヤと力強いフォルムにより、都市部からアウトドアまで幅広く対応する多目的ギアとしての性格が前面に打ち出された。
車体構造には、同年に登場したフィットの基本骨格(グローバル・スモールプラットフォーム)を応用。前席下に燃料タンクを配する独自のセンタータンクレイアウトを生かし、コンパクトな寸法に対して広大な室内空間と極めて低い荷室床面を実現した。外観はプロテクター風の大型バンパーや張り出したホイールアーチによって逞しさを強調。前後のオーバーハングを切り詰めることで、良好な取り回しと優れた居住性を両立させた。
動力部には、排気量1.5Lの水冷直列4気筒i-VTECユニットを横置き搭載。無段変速機(CVT)を介して前輪を駆動し、市街地での機敏な走りと環境性能を追求した。室内は機能性を重視したタフな設えとし、撥水・防汚加工のシート地や多彩な収納スペースを配置。後部座席のダイブダウン格納機構により、マウンテンバイクなどの大型ギアを積載可能な優れた空間効率が確保された。
かつてシティにモトコンポが搭載された関係性を想起させるように、荷室には専用開発の折りたたみ式電動コミューター「e-DAX(イー・ダックス)」を収められる設計とするなど、独創的な連携提案も盛り込まれた。市販化には至らなかったものの、センタータンク構造の柔軟性を示すとともに、のちに登場するホンダの個性派トールワゴンやクロスオーバー群のデザイン展開に刺激を与えた実験的モデルである。


「e-DAX(イー・ダックス)」は、かつてのモトコンポの思想を電動駆動で再構築した超小型モビリティである。折りたたみ可能なハンドルやフレーム構造を備え、四輪の荷室へ無駄なく収まる設計を採用。バッテリーとモーターによる静粛かつクリーンな走行を実現し、目的地周辺でのラストワンマイルを担う都市型コミューターとして提案された。

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