1998年に欧州で発売された「オペル ベクトラ i500」は、ドイツ・スーパーツーリングカー選手権(STW)参戦車のイメージを反映して開発された高性能スポーツサルーンである。名門チューナーのイルムシャーが開発と最終組み立てを担当し、4ドアセダンおよびステーションワゴンの「キャラバン」に設定。専用フロントバンパーやサイドスカート、後部スポイラーに加え、17インチのBBS製アルミホイールを標準装備して引き締まった外観を構築した。
動力部には、排気量2,498ccの54度V型6気筒DOHC24バルブ「X25XEI型」を搭載。標準の2.5リッターをベースとしながら、専用カムシャフトや改良された吸排気系、専用制御ECUを採用し、(195ps/6,500rpm、24.5 kgm/3,500rpm)を発揮。高回転域における伸びやかな加速特性を確保しつつ、全域でフラットなトルクを維持した。変速機にはクロスレシオ化された5速マニュアルを組み合わせ、前輪を駆動した。
シャシーは専用サスペンションにより車高を20mm短縮。強化スプリングと専用ダンパーを組み合わせ、高速走行時の姿勢制御と正確な操舵応答性を確保した。制動装置には前輪側に308mmの大径ベンチレーテッドディスクを投入し、サーキット走行や連続高速巡航に耐えうる制動力を獲得。室内にはサポート性に優れたレカロ製スポーツシートや本革巻きステアリング、カーボン調パネルを備え、機能的な運転環境を整えた。
イギリス市場においては、同等の高性能グレードとして「ボグゾール ベクトラ GSi」が展開された。現地で英国ツーリングカー選手権(BTCC)活動を担っていたMSD(モータースポーツ・ディベロップメント)が手掛け、同様に195ps仕様のV6ユニットや専用シャシーを搭載して高い支持を集めた。モータースポーツの知見と日常の実用性を融合させた限定モデルとして、欧州ツーリングカー全盛期を象徴する足跡を残した。

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