ポルシェ911の登場後しばらくの間、そのオープンモデルと言えばタルガトップであり、フルオープンのカブリオレが追加されたのは1983年モデルからであった。この2年前、1981年のフランクフルトモーターショーで、ポルシェはカブリオレ登場を予感させるコンセプトカーを出展していた。パールホワイトの911ターボをベースとしたカブリオレは、初めて四輪駆動を採用した911でもあった。ポルシェのチーフエンジニアであったヘルムート・ボットは、当時WRCを席巻していたアウディ クワトロに影響を受け、911への四輪駆動導入を模索しており、このコンセプトカーはその先行試作車としての役割も担っていた。四輪駆動の機構としてはセンターデフを持つファーガソン式であり、センターコンソールにはセンターデフロックのダイヤルも備えていた。ちなみにこのターボモデルはスタイリングを優先してホエールテールとインタークーラーを廃しており、標準の911ターボよりも若干出力が劣る290馬力となっていた。

その後ポルシェはグループBカテゴリーを見据えて開発した959に四輪駆動を採用。量産型911に四輪駆動モデルがラインナップされるのは964型のカレラ4の登場を待つこととなる。ちなみに、これは開発中の959プロトタイプとそれに乗り込むヘルムート・ボット。

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