BMW i8は、持続可能なモビリティを模索する中で開発されたプラグインハイブリッド(PHEV)スポーツカーである。車体構造には、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた軽量なキャビンとアルミニウム製シャシーを組み合わせた「ライフドライブ構造」を採用。重いバッテリーを車体中央の低い位置に配置して低重心化を図り、車両重量は1,485kg(初期型)に抑えられた。バタフライドアを備えた外観は空力性能を徹底的に追求した結果のデザインである。
リアに配された1.5リッター直列3気筒ターボエンジンは単体で最高出力231馬力を発生し、フロントの電気モーターと協調してシステム出力362馬力(後期型は374馬力)を発揮する。 0-100km/h加速は4.4秒、最高速度はリミッターにより250km/hに抑えられる。独自の4輪駆動システムを備え、燃費は欧州PHEV換算値で2.1L/100km、日本のJC08モードで19.4km/Lを達成した。なお、3気筒の静粛性に対し、走行状態に応じて車内外のスピーカーから擬似的なスポーツサウンドを出力する「アクティブサウンドデザイン」が搭載されている。
リチウムイオンバッテリーの総電力量は初期型の7.1kWhから後期型で11.6kWhへ拡大され、EVモードでの航続距離が向上した。トランスミッションは変速比の異なる独自の構成であり、フロントモーター用に2速、リアエンジン用に6速のATが個別に組み合わされている。減速時には前後で効率的なエネルギー回生が行われ、選択された走行モードに応じて、システム全体の駆動配分やサスペンションの減衰力がリアルタイムで自動制御される。
BMW i8は、内燃機関から完全な電気自動車への過渡期において、高性能車の新たな方向性を提示したモデルであった。 純粋な絶対性能の追求にとどまらず、先進技術による環境効率とプレミアム性の融合を果たしたパッケージングは、市場に新しい価値観をもたらした。 生産終了後も、独自の思想を具現化した電動化時代の先駆的ロードカーとして、自動車工学の歴史において客観的に評価される存在となっている。

2018年のマイナーチェンジに伴い、オープンモデルである「i8 ロードスター」が追加された。電動開閉式のソフトトップを採用し、50km/h以下であれば約15秒で開閉が可能。ルーフの収納スペースを確保するため、後席を排した完全な2人乗りレイアウトへと変更された。車体剛性の強化や開閉機構の搭載により、車両重量は1,595kgとなった。

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