日産 マーチ 12SRは、K12型をベースにオーテックジャパンが開発したファクトリーカスタムカーである。2003年10月に登場し、単なるドレスアップにとどまらず、エンジンやシャシーに徹底したメカニカルチューニングが施された。扱いやすいサイズで、操る楽しさを純粋に追求したパッケージングが特徴である。
パワートレーンは1.2リッター直列4気筒のCR12DE型を採用。高圧縮比ピストンや専用カムプロフィール、ポート研磨、排気系の最適化など、量産車の枠を超えたチューンが施された。これにより、最高出力は前期型で108馬力、2005年以降の後期型では110馬力を発生し、高回転まで鋭く吹け上がる特性を獲得。トランスミッションは専用の5速MTのみが用意された。
シャシーとボディの補強も徹底されている。各部へのステー追加によって剛性を大幅に引き上げ、専用サスペンションや15インチアルミホイールを装備。空力面では各種スポイラーに加え、床下の空気の流れを整えるアンダーカバー類も装着され、優れた高速安定性とリニアな操縦性を両立させた。
マーチ 12SRは、パワー競争とは一線を画し、高精度なチューニングによるトータルバランスでコンパクトホットハッチの魅力を体現した存在である。2010年にベース車の交代にともない生産を終えたが、オーテックがこだわり抜いた走りの質は、今なお多くのファンに語り継がれている。

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