1984年5月にプロトタイプが公開され、1985年11月にグループB公認を取得して実戦投入された「MG メトロ 6R4」は、オースチン・ローバーが世界ラリー選手権(WRC)参戦を目的に開発したコンペティションモデルである。車名は「6気筒」「ラリー」「4輪駆動」の頭文字に由来。F1の名門ウィリアムズGPエンジニアリングの協力を仰ぎ、大衆車の面影を残しながらも純然たる競技車両として生み出された。
シャシーは量産車のスチール製センターモノコックを残しつつ、前後に鋼管スペースフレームを結合した複合構造を採用。外装にはワイドフェンダーや前後スポイラーなど軽量なFRP製パネルを多用した。足回りは量産車のハイドラガスを全廃し、前後にストローク豊かなストラット式独立サスペンションを構築。巨大なリアウイングとともに、空力と冷却性能の向上が徹底された。
パワートレーンには、コクピット背後に専用開発の3.0リッターV型6気筒DOHC「V64V」エンジンをミドシップ配置。当初はホンダ製V6エンジンの搭載も検討されたが、想定したハイパワーを望めないという事で専用ユニットを開発する流れとなった。重量配分と4WD化の最適解として、変速機をエンジンの前方に置く縦置きレイアウトを採用した。リアデフはエンジンのオイルパン側面に一体化され、そこから反対側の後輪へ向かうドライブシャフトがオイルパン内部を横方向に貫通するという、低重心化を突き詰めた合理的な設計が採られた。鋭いレスポンスを追求した高回転NAユニットで、公道仕様「クラブマン」で約250hp、競技仕様では約410hpを発生し、専用5速MTが組み合わされた。
1985年11月のRACラリーでデビュー戦3位表彰台を獲得したものの、翌1986年のWRC実戦ではエンジンの動弁系トラブルが頻発し相次ぐリタイアに泣かされた。熟成不足のまま同年末のグループB廃止を迎えてワークス活動は幕を閉じたが、後年のラリークロスでは猛威を振るい、搭載エンジンが後にスーパーカー「ジャガー XJ220」へ受け継がれるなど、ラリー史に強烈な爪痕を残した怪作である。

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